第15章:導入ロードマップ
この章で分かること
- いきなり自動復旧から始めない理由
- Phase 0〜8の内容と入口/出口条件
- 自組織が今どの段にいるかの判定の仕方
- 飛ばし禁止のゲート(セキュリティ・ログ・承認)
- PhaseごとのKPIの測り始め(KPI章と接続)
たとえ話
筋トレと同じです。フォーム(ログと監視)が固まってから重量(権限)を上げる。
いきなり最大重量(L5自動復旧)は事故のもとです。
1. 全体マップ
土台 → 読取AI → 分析 → 成果物 → 限定操作 → 承認付き → 条件付き自動
P0 現状把握 P1 観測品質 P2 運用標準化 P3 読取専用AI (L0) P4 分析支援 (L1) P5 成果物生成 (L2) … マージは人 P6 限定操作 (L3) P7 承認付き本番 (L4) P8 条件付き自動復旧 (L5)
2. Phase別:やること/出口条件/KPI
| Phase | やること | 出口条件(進んでよい印) | 測り始めるKPI例 |
|---|---|---|---|
| 0 | 監視対象、通知、権限、PII、現行KPIの棚卸し | 一覧表がある | MTTA/MTTR定義 |
| 1 | 構造化、severity、stacktrace、trace、version、PIIマスク | 主要サービスで欠落が可視化される | ログ欠落率 |
| 2 | アラート基準、インシデント分類、ランブック、エスカレ | SEVと復旧ゴールの型がある | 誤アラート、ノイズ |
| 3 | 読取専用で要約・検索 | 本番書込ツールが無い | 収集時間、採用率 |
| 4 | 仮説・反証・不足情報 | 反証空欄をレビューで弾ける | 誤り率、候補提示時間 |
| 5 | PR/草案生成(マージは人) | 自動マージしない | 修正率 |
| 6 | CI再実行・診断・検証環境 | allow listと監査がある | 承認拒否率(準備) |
| 7 | ロールバック等の承認付き本番 | 二重承認やタイムアウトがある | 承認拒否率、件コスト |
| 8 | 極少の条件付き自動復旧 | 成功率監視と即停止条件 | 自動実行成功率 |
3. 飛ばし禁止ゲート
- P1(ログ品質)を飛ばしてP4に行っても、入口が空なので止まれます [S02]
- PII/権限未決のままP3に進まない(第12章)
- P5の成果物生成と、マージ/本番反映は別ゲート
- P8は「先進的だから」では選ばない。成功実績と被害限定が先
4. 90日プラン例(イメージ)
例: 中規模Webサービス
Day 0-30 P0+P1(棚卸しとログ標準) Day 31-60 P2+P3(運用型と読取AI) Day 61-90 P4(分析支援)と評価 以降 効果と安全KPIを見てP5へ
運用担当者P0表のオーナーになる
PGP1のログ・例外・相関ID改修をスプリントに載せる
SEP1の出口条件を設計レビューとバックログに接続する
PMPhase飛ばし要求を出口条件で止める
経営層成果指標をPhaseに合わせて変える(最初は探索時間など)
5. 現場適用:Phase判定クイズ
| 状況 | 今のPhase目安 | 次にやること |
|---|---|---|
| 監視はあるがログが自由文だらけ | 0〜1 | 構造化とtrace |
| 読取AIで要約はしているが反証が無い | 3 | Phase 4の型を強制 |
| 修正PRは出すが自動マージしている | 5手前で停止 | マージ分離 |
| 本番ロールバックをAIが承認なし実行 | 逸脱 | 即L4未満へ戻す |
ふりかえり
- 今日帰るときに「うちはPhase ○」と言えるか
- そのPhaseの出口条件を満たしているか説明できるか
- 次のPhaseで増えるリスクを1つ言えるか