第3章:リアルタイムである必要はあるか
この章で分かること
- リアルタイム/オンデマンド/定期の分け方
- 「行動できるか?」という判断基準
- アラート疲れの仕組みと対策
- SLO・エラーバジェットとの関係
- Golden Signals と「症状優先」の考え方
- 通知ルール棚卸しの進め方
判断基準: 今この情報が届いたとき、具体的なアクションを起こせるか?
タイミング分類図 · ソース:
../diagrams/monitoring_timing_matrix.mmd%% タイミング分類図
flowchart LR
Q{"今この情報が届いたとき\n具体的なアクションを起こせるか?"}
Q -->|今すぐ行動| RT["リアルタイム\nサービス停止 / 注文失敗急増\n認証障害 / コスト暴走\nSNMP Trap重大障害"]
Q -->|調査依頼を受けて| OD["オンデマンド\n特定ユーザー失敗\nCI失敗調査\nデプロイ前後差分\n監査調査"]
Q -->|傾向・予測で改善| REG["定期"]
REG --> D["日次\n重大エラー集計\nLLMコスト"]
REG --> W["週次\n再発傾向\nアラートノイズ"]
REG --> M["月次\n容量予測\nMTTR推移\nインシデント件数"]
style RT fill:#7f1d1d,stroke:#fca5a5,color:#fff
style OD fill:#1e3a5f,stroke:#7dd3fc,color:#fff
style REG fill:#14532d,stroke:#86efac,color:#fff
図が見えないときのテキスト版
行動できる? → リアルタイム / オンデマンド / 定期(日次・週次・月次)
1. 三つの箱(詳細)
| 箱 | 条件 | 例 | 通知 | AIの使い方 |
|---|---|---|---|---|
| リアルタイム | 今、人が動く/守る | 停止、認証障害、重大Trap、コスト暴走 | ページ等 | 検知後の初動パック |
| オンデマンド | 依頼があってから | 特定ユーザー、CI失敗、監査 | 依頼時 | 検索・相関 |
| 定期 | 傾向・予測・改善 | 再発、容量、費用、MTTR | 日次〜月次 | 要約と優先草案 |
2. SLO・エラーバジェット
SLO=目標水準。エラーバジェット≒100%−SLO [S12][S13]。枯渇時の扱い(リリース方針など)は政策として事前合意します [S18]。
全部をリアルタイムにすると、「変更を進めるか信頼性作業に寄せるか」の会話も濁ります。
全部をリアルタイムにすると、「変更を進めるか信頼性作業に寄せるか」の会話も濁ります。
2b. Golden Signals と症状優先
SREの監視では、ユーザーに近い症状(symptoms)をページの主対象とし、
原因ヒューリスティック(CPU単体など)は補助に回すのが定石です [S11]。
典型の観測軸は Golden Signals(latency / traffic / errors / saturation)です。
「ディスク90%」単体より、「エラー率上昇+レイテンシ悪化」の方が行動につながりやすい、という判断材料になります。
3. 棚卸しワーク(30分)
- 直近の通知を20件書き出す
- 各行に「届いた瞬間に取った行動」を書く(無ければ定期候補)
- 重要度と頻度で四象限に置く
- 行動不能な高頻度を抑制・集約・定期へ移す
行動できない情報をリアルタイム通知し続けるとアラート疲れになります [S11]。
運用担当者通知ルールを行動有無で棚卸しする
PGログ量が増える変更はseverityとevent_codeを添えて相談する
SE通知設計を行動可能性で分類し、集約・抑制方針を決める
PM日次・週次の受け手とアクションを決める
経営層「リアルタイム=先進」ではないと理解する
4. 現場適用:振り分けシート
通知名 | 届いたときの行動 | 箱 | 変更案
------|------------------|----|--------
disk90 | なし(見るだけ) | 月次 | ページ解除
auth_down | 全員召集 | リアルタイム | 維持
ci_flake | 翌朝確認 | 日次/週次 | 抑制
ふりかえり
- 自チーム通知を三箱に振り分けたか
- 振り分け不能な通知をやめる/定期化する候補にしたか