research 読了 16 分 更新 2026-08-09 30枚採点済み・結果公開

AI画像は1枚で判断しない|5 Seed比較で見るプロンプトの再現性

光・支持点・Negativの3比較を5 Seed・30枚で採点。光詳細は光評価を改善した一方、支持点の詳細化は定番ポーズへの漂移を防げず、過剰Negativは採用率を下げた。

要点

1枚だけ見ると「Improvedの方が良い」と断言しやすい。だがその差は、プロンプトの力なのか、たまたまSeedとの相性が良かっただけなのかを切り分けられない。本稿は Tensor検証シリーズの延長として、同一変更を5 Seedで対にして繰り返す器を用意し、結論の言い方を Best-of-1 から Average-of-5 / 採用率 / 破綻率へ移すための記録である。

TensorArt 履歴(2026-08-07抽出)から照合した 30枚(3実験×2条件×5 Seed)を1枚ずつ採点した。結論は単純な「詳細なプロンプトほど良い」ではない。光詳細は光評価を平均3.8から4.6へ上げたが、支持点の詳細化はカップ保持より頬杖を誘発し、過剰Negativは標準条件より採用率が下がった。

問題

既存の Making(V01光 / V06支持点 / V07 Negativ)は、変数を1つ動かした比較として十分に機能する。一方で次の疑問が残る。

  • その1枚で見えた優位は、別Seedでも再現するか
  • 「最高が綺麗」な条件と、「ハズレが減る」条件は同じか
  • 単一Seedだけ見ると、結論が逆転する瞬間はあるか

採点基準と仮説

良いプロンプト変更は、最高点を伸ばすだけでなく、失敗率を下げて最低点を底上げする可能性がある。この仮説を次の指標で確認した。

  • 採用率 = 採用画像数 / 5
  • 破綻率 = Reject数 / 5
  • overall 平均・最小・最大
  • Seedごとの Improved win / Standard win / Tie

実験条件

  • 検証ID V09 / サービス TensorArt / モデル WAI-illustrious-v17
  • Sampler Euler a / Steps 20 / CFG 7 / 解像度 1280×768(16:9)
  • シーン固定: cozy cafe by the window / open book / teacup / afternoon
  • キャラ方針: オリジナル成人女性・early twenties appearance・opaque・modest neckline
  • Seed Pair: 10101 / 20202 / 30303 / 40404 / 50505
  • 開示: AI生成(TensorArt)。生成日 2026-08-07。水着・浴室・寝室・着崩れは未使用
  • A2 / B2 / C1 は Positive+標準Negativが同一のため、履歴上の Full 生成を時系列で A2→B2→C1 に割り当て
  • 同一Seed・同一プロンプトでも、画素が一致する例(例: 10101 / 30303)と一致しない例(例: 20202 / 50505)がある。TensorArt側の非決定性として記録する

何を変えたか(変数だけ)

  • 実験A Lighting: 光詳細なし(A1) vs 光源・リム・肌中間調あり(A2)
  • 実験B Support: 支持点・接触が薄い(B1) vs 支持点明示(B2)
  • 実験C Negative: 標準Negativ(C1) vs 過剰Negativ・場面語禁止込み(C2・教材用失敗条件)

実験A|Lighting — なぜ光を最初に見るか

光は見た目の印象を一気に変え、かつ文章化しやすい。V01では色温度と強度を差し替えた。ここではさらに一歩進めて、光の詳細指定そのものの有無を Seed 横断で見る。

A1は PHYSICS の FORCE/ACTS_ON/EFFECT と、肌の golden glow を外した版。A2は窓からの暖色キーライトとリム、中間調維持を明示した版。どちらも支持点・キャラDNA・標準Negativは共通である。

見るときの観点(採点用メモ):

  • 顔の読みやすさ(白飛びで潰れていないか)
  • 肌の中間調が残っているか
  • 背景(窓)と人物の分離
  • 雰囲気は残しつつ、比較記事の主役に使えるか

実験Aの結果

A1/A2の総合平均はどちらも3.8、採用率も80%で同じだった。一方、光評価はA1の3.8からA2の4.6へ改善し、ペア判定は A2勝ち4 / Tie 1。光詳細は見た目全体の採用率より、顔の中間調と人物・窓の分離を安定させた。A2でも指定外カメラなど別要因の混入が残るため、総合点までは上がらなかった。

実験B|Support Points — 接触と重心は文章に残せるか

V06では自転車フルボディで Strong/Weak を比較した。本稿はカフェ窓辺に統一し、変数を支持点だけに純化する。B1は「holding a teacup / upright posture」程度の薄い指定。B2は両手でカップ、前腕とテーブル、骨盤の重心、足の接地まで書く。

観察のポイントは、破綻ゼロかどうかより、直し方を本文に残せるかである。偶発的に上手くいった例は、次の場面へ再利用しにくい。

実験Bの結果

B1の支持点平均は3.2、採用率60%。B2は支持点平均2.0、採用率0%で、ペア判定は B1勝ち3 / Tie 2 / B2勝ち0 だった。B2は両手とカップの接触を詳しく書いたのに、5枚とも頬杖や読書姿勢へ漂移した。支持点は詳しくすれば必ず通るわけではなく、モデルが好む定番ポーズと競合したら、動詞を減らすか段階生成へ分ける必要がある。

実験C|Negative — 増やしすぎは安全か副作用か

V07では夜のタクシーで最小/標準/過剰を比較し、過剰が別特徴混入を招く例を残した。本稿のC1は標準フルNegativ。C2はそこに百科事典語と、cafe / window / teacup / sunlight など場面語の禁止まで足した教材用失敗条件である。C2は本番の既定にしない。

PositiveはC1/C2とも Full(A2/B2と同型)。変えているのは Negative だけ。

実験Cの結果

C1の総合平均は3.8、採用率80%。C2は平均3.4、採用率40%で、ペア判定は C1勝ち2 / C2勝ち1 / Tie 2 だった。C2は毎回壊れるわけではなく、30303では指定外カメラが消えた。しかし10101と40404ではカップが二つに増え、50505では主要小物のカップが消えた。過剰Negativは安全装置ではなく、場面の意味まで不安定にする追加変数として扱う方がよい。

Best-of-1 と Average-of-5

各行は Best / Average / Worst / Accept Rate の順。Bestが同じ4でも、平均と採用率には差が出た。

  • A1 Lighting Standard: 4 / 3.8 / 3 / 80%
  • A2 Lighting Detailed: 4 / 3.8 / 3 / 80%
  • B1 Support Weak: 4 / 3.6 / 3 / 60%
  • B2 Support Detailed: 3 / 3.0 / 3 / 0%
  • C1 Negative Standard: 4 / 3.8 / 3 / 80%
  • C2 Negative Overloaded: 4 / 3.4 / 3 / 40%

Seedごとの勝敗

Lightingだけを見るとA2が4勝だが、総合採用率は同じだった。1つの評価軸で勝っても、画像全体の採用率まで上がるとは限らない。

  • Lighting A1 vs A2: A1勝ち0 / A2勝ち4 / Tie 1
  • Support B1 vs B2: B1勝ち3 / B2勝ち0 / Tie 2
  • Negative C1 vs C2: C1勝ち2 / C2勝ち1 / Tie 2

採点から分かったこと

  • 髪は shoulder-length 指定でも長めに漂移しやすい(V02と同系)
  • カメラ小物や蒸気など、プロンプト外の「雰囲気補強」が入りやすい
  • 光詳細なしでも明るい窓辺は出るが、詳細ありの方が顔の中間調と背景分離は安定した
  • 支持点の詳細化は、今回の5 Seedでは定番の頬杖ポーズに全敗した
  • 過剰Negativは毎回壊すわけではないが、主要小物の増殖・消失を増やした
  • 1枚だけならC2を成功と判断できるSeedもあり、5枚を見ると標準C1の方が安定していた

判断

今回の5 Seedでは、光の詳細指定は狙った評価軸を改善したが、詳細化そのものが総合採用率を上げるとは限らなかった。支持点は短いB1の方が通り、過剰Negativは標準C1より不安定だった。改善とは語数を増やすことではなく、狙った評価軸を上げ、副作用を増やさない変更である。

限界

  • Seedは5本。統計的有意差は主張しない
  • 単一モデル(WAI-illustrious-v17)・単一プラットフォーム(TensorArt)
  • 単一キャラクター方針・単一シーン
  • A2/B2/C1は同一Positiveのため、履歴割当に時系列仮定がある
  • 単独評価(AI支援)のため、別評価者との一致率は未確認
  • A2/B2/C1の一部は同一画像であり、独立した再生成結果ではない

再利用できる知見

  • 比較記事は「美しい1枚」より「対応Seedの対」を残すと再検証できる
  • 変数を1つに純化し、それ以外をログに固定する
  • 結果が出ないSeedも捨てない。再現率の分母である
  • 過剰Negativは教材として分離し、本番既定にしない
  • データ(JSON)と見せ方(Making)を分けると、採点追加で骨格を壊しにくい
  • 総合点だけでなく、変更対象の軸(光・支持点・混入)を別に集計する

プロンプト抜粋(変数だけ)

プロンプト全文は省略し、比較に効く差分だけを示す。

実験A|光詳細の差分(Structured の PHYSICS / SKIN)

実験C|Negativ の差分(末尾の場面語)

A1(光詳細なし)
[PHYSICS] SUPPORT: chair seat under hips, both palms wrapping cup, forearms resting lightly on table edge, weight centered over seated pelvis
[SKIN] exceptionally soft skin, soft tonal gradation, natural skin sheen

A2(光詳細あり)
[PHYSICS] FORCE: warm afternoon sunlight through window pane, ACTS_ON: face profile and cup rim, EFFECT: soft golden rim light on cheek and teacup edge; SUPPORT: ...
[SKIN] soft golden glow on cheek and hands, midtones preserved, exceptionally soft skin, soft tonal gradation, natural skin sheen
標準(C1)… schoolgirl uniform まで(場面語なし)

過剰(C2・教材)末尾に追加:
sunlight, golden light, warm light, window, cafe, book, teacup, cardigan, smile, reading, afternoon

次の一歩

変更前後

  • 変更前:AとBを1枚ずつ見比べ、「今回はImprovedが良い」で閉じていた
  • 変更後:30枚を採点し、光詳細は対象軸を改善、支持点詳細と過剰Negativは安定性を下げたと条件付きで判断した

同じところで止まるときの続き

ここまでが、1テーマ分の判断ログです。有料ノートや実践テンプレでは、同じ切り方をシート・チェックリスト・失敗ログとして一通り揃えられます。

まずこの記事の手順だけ試し、毎回同じ詰まり方をすると感じたときに続きを見てください。

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