SE向けAI活用では、コード生成よりも要件・設計書レビュー、差分影響分析、テスト観点化が重要である。設計品質が安定すれば、製造、テスト、リリースの手戻りが減る。
4.0b PoC向け:上流品質ゲート(SE・設計)
受託開発では要件・設計の曖昧さが後工程手戻りの主因(第00章)。PoCテーマ「要件・設計レビュー」(第11章)では、AIを仕様の補完者ではなくチェック役に限定する(第1章:仕様不明点をAIに勝手に補完させない)。
| チェック対象 | AIの使い方 | 出力の扱い | 社内PoC事例 |
|---|---|---|---|
| 要件・設計書 | 曖昧語・未決・例外の抽出 | 顧客確認事項と内部修正を分離記録 | 第17章 B-1 要件定義ゲート |
| 版間・資料間 | 主張強度・責任主体の変化検出 | 差分は人間が合意確認 | 第17章 B-2 意味逸脱監査 |
| テスト観点 | 観点表の下書き | QAが採否(第5章と連動) | 第10章プロンプト |
試行用スキル・記録: PoC試行キット内スキル · KPIは第12章 S-1。
研修 — SE/QA コース(確認 3 問 + 演習2)
| # | 問題 | 正解 |
|---|---|---|
| 1 | AIが要件の未決を埋めてよい? | いいえ — open-items へ |
| 2 | 曖昧語指摘の扱い | 顧客確認 vs 内部修正を分離 |
| 3 | 版間の主張変化 | 意味逸脱監査で人間確認 |
演習2:
$requirements-definition-gate — 指摘を顧客確認/内部修正/無視に分類。4.1 対象成果物
- 要件定義書
- 基本設計書
- 詳細設計書
- 画面設計書
- 帳票設計書
- 外部IF設計書
- DB設計書
- バッチ設計書
- 移行設計書
- 運用設計書
- テスト仕様書
4.2 要件定義レビューの観点
| 観点 | チェック内容 |
|---|---|
| 曖昧語 | 適切に、必要に応じて、原則、随時、可能な限り |
| 未定義語 | 業務用語、画面名、帳票名、区分名 |
| 主語不足 | 誰が、どのシステムが、どの部署が |
| 条件不足 | いつ、何を条件に、どのケースで |
| 例外不足 | エラー時、0件、重複、権限なし |
| 非機能不足 | 性能、可用性、監査、ログ、セキュリティ |
| 受入条件不足 | 完了判定ができるか |
| テスト不能 | 検証可能な仕様になっているか |
要件レビュー用プロンプト
あなたは要件定義レビュー担当の上級SEです。
以下の要件定義文について、後工程で手戻りになりそうな点をレビューしてください。
レビュー観点:
1. 曖昧な表現
2. 主語・対象・タイミングの不足
3. 業務ルールの不足
4. 例外条件の不足
5. 権限・認可の不足
6. データ整合性の懸念
7. 非機能要件の不足
8. テスト可能性
9. 顧客に確認すべき質問
10. 受入条件として明文化すべき内容
出力形式:
- 指摘No
- 該当箇所
- 問題点
- リスク
- 修正案
- 確認先
4.3 設計書レビューの観点
| 設計書 | AIチェック観点 |
|---|---|
| 画面設計 | 入力制御、初期値、必須、桁数、活性/非活性、エラー表示 |
| 帳票設計 | 出力条件、ソート順、改ページ、0件時、集計ロジック |
| IF設計 | 項目型、桁数、必須、コード値、リトライ、タイムアウト |
| DB設計 | 主キー、外部キー、NULL、インデックス、履歴、排他 |
| バッチ設計 | 起動条件、再実行、排他、異常終了、ログ、リカバリ |
| 権限設計 | ロール、操作可否、データ参照範囲、監査証跡 |
| 運用設計 | ジョブ監視、障害通知、復旧手順、問い合わせ対応 |
設計レビュー用プロンプト
あなたは基幹システム開発の設計レビュー担当です。
以下の設計書をレビューし、後続の製造・単体テスト・結合テストで問題になりそうな点を抽出してください。
重点観点:
- 要件との対応漏れ
- 業務ルールの矛盾
- 入力チェック不足
- エラー処理不足
- DB更新タイミング
- トランザクション境界
- 排他制御
- 権限チェック
- ログ出力
- 再実行性
- テスト観点
出力形式:
| No | 分類 | 指摘内容 | 影響工程 | 重要度 | 修正案 | 確認事項 |
4.4 差分影響分析
設計変更時は、AIに旧版と新版を比較させ、影響範囲と追加テスト観点を抽出させると有効である。
- 旧版設計書を用意する。
- 新版設計書を用意する。
- AIに差分を要約させる。
- 影響する画面・帳票・IF・DB・バッチを抽出する。
- 追加すべきテスト観点を作成する。
- 修正対象と確認対象を分離する。
- レビュー会議で採否判断する。
- 課題・テスト仕様へ反映する。
差分影響分析プロンプト
あなたは変更影響分析に強いSEです。
以下の旧版設計書と新版設計書の差分を比較し、影響範囲を整理してください。
出力形式:
1. 変更概要
2. 変更された仕様
3. 影響する画面
4. 影響する帳票
5. 影響するDBテーブル・カラム
6. 影響する外部IF
7. 影響するバッチ
8. 追加・変更すべきテストケース
9. 既存回帰テストで確認すべき範囲
10. 未確認リスク
4.5 SE向け標準運用
| タイミング | 実施内容 | 成果物 |
|---|---|---|
| 設計作成後 | AI設計レビュー | 指摘一覧 |
| 顧客レビュー前 | 確認事項抽出 | 顧客確認リスト |
| 仕様変更時 | 差分影響分析 | 影響範囲表、追加テスト観点 |
| 製造着手前 | 未決事項確認 | 製造着手可否判断 |
| テスト設計前 | 設計書からテスト観点抽出 | テスト観点表 |
Before / After 事例(PoC想定・匿名)
事例S-1:要件定義書の章単位AIレビュー
| 項目 | Before | After(1.5か月) |
|---|---|---|
| 顧客レビュー後の追加指摘 | 平均18件/章 | 平均9件/章 |
| 製造着手後の仕様確認チケット | 月12件 | 月5件 |
| AI指摘の採用率 | — | 62%(残りは却下・要確認) |
| レビュー工数 | 上級SE 4h/章 | 上級SE 2.5h/章(AI下書き+人間判断) |
使ったスキル:社内「要件定義ゲート」スキル(MODE-B)+ 第4章プロンプト。公開スキル単体では要件・契約境界までカバーしきれない。